紅茶について考えるサイトです
紅茶の種類 [編集]
品種の詳細はチャノキを参照。日本国内の栽培品種は下記の日本の項参照。
紅茶は伝統的に中国で栽培されていた低木の茶樹(中国種)の葉から作られていたが、1823年にインドのアッサム地方で高木の別種の茶樹(アッサム種)が発見され、以後インドやスリランカなどでは後者の栽培が盛んになった。ただし、ダージリン等中国種の栽培も各地で行われており、また両者の交配も進んでいるため、産地のみでいずれの種類かを特定することはできない。なお「クローナル」とは挿し木で増やした茶樹を指す言葉であって、種子から栽培した茶樹と区別するための名称であり、品種名ではない。中国種とアッサム種の混合種と呼んだり、接ぎ木で栽培したものと説明される場合があるがそれらは誤用である。したがって中国種のクローナル、アッサム種のクローナル、混合種(ハイブリッド)のクローナルが存在する。 アッサム種は中国種より渋みを示す成分が非常に多いといわれており、一般に、アッサム種または混合種の方が安価である。
代表的な産地 [編集]
ブレンド前の茶葉(原茶)をブレンドに対し、エリアティーと呼ぶことがある。
インド [編集]
インドでは、中国種、アッサム種の両方が栽培される。代表的な産地としてアッサム、ダージリン、ニルギリが知られる。
アッサム (Assam)
インド北部産。水色は澄んだ濃い目の深い紅色でミルクティーに適する。甘い芳醇な香気を持ち、こくのある濃厚な味。
ダージリン (Darjeeling)
インド北部産。水色は透明度の高い琥珀色でストレートティー向き。世界最高と称される特徴的な香気(マスカットフレーバー、あるいはマスカテルと呼ばれる)と、好ましい刺激的な渋味(一般にパンジェンシーと表現される)を持つ。特に硬度の低い水を用いると良く香りが出るとといわれる。ダージリンには、100以上の茶園が存在し、そのうちの約半数が毎週茶葉を競売に出しているようだが、日本にも知られた「キャッスルトン」「チャモン」「リッシーハット」「マカイバリ」「ピュグリ」などの高級茶葉は高値で落札されている。白茶や青茶なども少量ながら生産されている。
ニルギリ (Nilgiri)
インド南部産。スリランカに近く、特長もスリランカのハイ・グロウンに似る。水色は濃い橙色でミルクティーや特にスパイスを用いるバリエーションティーに適する。フレッシュですっきりとした香気としっかりとした風味を持つ。
ドアーズ (Dooard)
インド北部産。水色は濃橙色。ミルクティー向き。強い渋みはなく、こくのある味だが、香気に劣る。
シッキム (Sikkim)
インド北部産。ダージリンに似るが、渋味が弱めでこくがあるとといわれる。
アルナチャル・プラディッシュ (Arunachal Pradesh)
トラバンコール (Travancore)
テライ (Terai)
カングラ (Kangra)
インドネシア [編集]
スマトラ
ジャワ (Java)
ジャワ島産。中国種とアッサム種の両方が栽培されている。
バングラデシュ [編集]
シレット (Sylhet)
スリランカ [編集]
一般にはセイロンで知られる。ウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、キャンディ、ルフナの五種をまとめて、セイロン・ファイブ・カインズと呼ぶ。
ウバ (Uva)
セイロン島南東部。水色は明るい鮮紅色で優れ、ティカップに注いだときに見られる、内側の縁に浮かびあがる金色の輪は、ゴールデンカップ、あるいはゴールデンリングと呼ばれている。好ましい刺激的な渋味(一般にパンジェンシーと表現される)を伴う芳醇な風味と、一般に薄荷に似た、ときに甘い花のような香気(茶葉によりさまざまに変化する)を持つ。飲んだときメントール香を感じられるものが高品質とされる。濃い目のミルクティーに適する。ダージリン、キーマンと並ぶ三大銘茶のひとつ。
キャンディ (Kandy)
セイロン島中央部。水色は輝きのある紅色で冷めても濁り(クリームダウンと呼ぶ)を生じにくい。バリエーションティーやアイスティーに最適。香りは控えめで、渋みが少なく、軽く柔らかだがこくのある味。
ディンブラ (Dimbula)
セイロン島中央部。水色は上品な橙色でアイスティーやバリエーションティーに最適。薔薇の香りに似た柔かいが強い香気を持ち、爽やかな渋味(ブリスクと表現される)を伴うが、柔らかくマイルドな風味。
ヌワラエリヤ (Nuwara Eliya)
セイロン島中央部。水色は淡い橙赤色。ストレートティー向き。'草いきれのする'と称されるさわやかな香気を持ち、優しく穏やかな、しかししっかりとした味。
ルフナ (Ruhuna)
セイロン島南部。水色は深紅色。ミルクティー向き。独特の強いスモーキーな香気を持っている。あくの重い濃厚な渋みを持つ。主にアラブ諸国で好まれている。
ギャル (Galle)
セイロン島南部。水色は明るいオレンジ色。アイスティー・ストレートティー向きだがミルクティーにも向いている。ロウグロウン(low grown)
ラトナピュラ (Ratnapura)
ラトナピュラ地方。水色は澄んだ濃い紅色。ストレートティー向き。チョコレートのような風味、チャイによく使われる。ロウグロウン(low grown)
中国 [編集]
中国種の紅茶として有名なものには、祁門紅茶(キーマン・コウチャ)、雲南(ユンナン)などがある。これらはインドやスリランカのものと比べて、茶葉が細かく砕かれていない、何処か燻製のような香りがする(実際に燻製されているものもある)、渋味が出にくい、という特徴がある。また、他の香りを吸着しやすい特徴があるとされ、アールグレイなどの香りをつけた紅茶は、中国産の紅茶を利用している場合が多い。(→中国茶)
* 祁門紅茶(キーマン、キームン、キーモン、祁紅):安徽省祁門県産。
三大銘茶のひとつ。「蘭の香り」に喩えられる微かなスモーキーさを漂わせ、味わいは渋みが少なく糖蜜のような甘さを持っている。イギリス女王の誕生日茶会に饗されることでも知られている。
* 雲南紅茶(?紅):雲南省鳳慶県・昌寧県近辺産。
* 英徳紅茶(英紅):広東省英徳市産。
* 宜紅:湖北省宜昌市近辺産。
* 四川紅茶(川紅):四川省産。
* 正山小種(ラプサンスーチョン):福建省武夷山地域産。
アフリカ [編集]
アフリカでは、ケニア、タンザニア、マラウイ、モザンビークなどで生産されているが、その多くがブレンド用である。ケニヤに産するものは比較的良質とといわれる。
ケニア
アフリカンプライド
ロシア [編集]
ジョルジ (Georgie)
水色は深橙色。ストレートティー向き。甘い味を持つとといわれる。
トルコ [編集]
リゼ (Rize)
チャイダンルックと呼ばれる二段式のヤカンで濃く淹れ、沢山の砂糖をいれて飲まれる紅茶。
日本 [編集]
1876年(明治9年)に紅茶用茶樹の種子が導入され、鹿児島、福岡、静岡、東京に紅茶伝習所が設けられ、紅茶に適するアッサム種と中国種を交配し国産紅茶品種を作り、紅茶の製造がはじまった。昭和30年代半ばまでは1,500t以上生産されていた。1971年の紅茶輸入自由化以降、国内の紅茶生産は壊滅状態となったが、現在では九州、静岡県および長野県、三重県、山陰地方などで生産された国産紅茶が若干量流通している。品質のばらつきが若干多い傾向があるが、渋みがあまりなく、柔らかな口当たりを特徴とするまろやかな紅茶が多い。伊勢紅茶は国産茶の中では異色の強い風味を持っている。
一方、沖縄県では紅茶生産に適する原料となるアッサム種の生産に適する位置から、1958年にアッサム種の生産を試みた記録がある。定着はしなかったが、2000年より再度生産を開始。「琉球紅茶」のブランド名にて有機栽培・無農薬などの付加価値を付け、苗木から選定したブランド化をスタート。自治体と取り組み本格的な生産に乗り出し、「金武町琉球紅茶産地化事業」が2008年JAPANブランドに認定。同年、中小企業庁地域資源育成事業にも認定され、国外の販路も視野に入れた高品質な国産紅茶の本核的な生産を開始している。
* 主なブランド
o 静岡県:丸子紅茶
o 長野県:うまいんだに
o 三重県:伊勢紅茶
o 島根県:出雲紅茶
o 鳥取県:鳥取紅茶
o 大分県:杵築紅茶
o 佐賀県:嬉野紅茶
o 鹿児島県:鹿児島紅茶、阿久根紅茶
o 沖縄県:琉球紅茶
* 主な国産紅茶用品種(農林登録年度)※紅茶向け品種には”べに・もみじ”など赤を連想する言葉が使われている
o べにほまれ(昭和28年)
o はつもみじ(昭和28年)
o べにかおり(昭和29年)
o べにふじ(昭和35年)
o べにひかり(昭和44年)
o べにふうき(平成5年):メチル化カテキン利用により機能性食品原料として注目品種
ブレンド・着香茶(フレーバーティー) [編集]
原茶では味わえない味と香りを楽しむために、複数の茶葉を混合したものをブレンドと呼ぶ。ブレンドには大きく分けると2通りあり、異なる産地のものを合わせる場合と、同じ産地で違う茶園や違う日にちに採取した茶葉を合わせる場合がある。また香料やその他の方法で茶葉に香りを定着させたりハーブやドライフルーツなどを混合したものは、着香茶(フレーバーティー)と呼ばれる。大手メーカー(パッカー)の商品にブレンドが多いのは、安価で安定した茶葉を広く流通させるためである。 以下に良く知られるブレンド名を示す。
ブレックファスト
名前の通り、朝起き抜けに、あるいは朝食に添えて飲むためのブレンド。水色がかなり濃く、比較的強い渋味を持つ。イングリッシュとアイリッシュの二種があり、特に後者は渋味が強い。通常ミルクティーにして飲む。
アフタヌーン
午後のひとときに味わって飲むためのブレンド。ブレックファストに比べると渋みが少ない傾向だが、味や香りはパッカーによりさまざま。
HMB (Her Majesty's Blend)
女王陛下のブレンドという意味。通常リッジウェイの物を指す。渋味の抜けたスッキリとした味わい。
プリンス・オブ・ウェールズ
キーマンをベースにした、蘭の花のような香りが特徴。名称の由来は英国・皇太子時代のエドワード8世。
産地の名を冠したものは、各々の産地の特徴的な香味を生かしつつ年毎の茶葉の質の変化を調整し、改良したものである。
ダージリン
アッサム
セイロン
着香茶(フレーバーティー)には香料を茶葉に吹き付けたものや、ハーブやドライフルーツなどを茶葉に混ぜ込んで着香したもの、香りの強い物質から茶葉に香りを吸着させたものなどがある。品質の良くない茶葉に商品価値をつけるために着香することが少なくない。前述の産地名のついたブレンドの中には、紅茶の香りを人工的につけた粗悪なものもある。
アールグレイ
比較的渋みの少ないブレンドした茶葉にベルガモットで香りを付けた着香茶のこと。名前は19世紀の英国首相グレイ伯爵を由来としている。なおキーマンに着香したものがスタンダードとされる。独特の香りが好まれ、また高温に加熱しても香りが飛ばないことから、クッキー、ケーキ、ゼリーなどの菓子にアールグレイがよく使われる。しかしこれらは厳密に言えば紅茶風味の菓子というより、ベルガモットの香りの菓子である。
レディグレイ
アールグレイをベースに、柑橘類の果皮と矢車菊の花を加えたトワイニング社のブレンドティ。フルーティーで爽やかな風味。
正山小種(ラプサン・スーチョン)
茶葉を松葉で燻して着香した着香茶。正露丸にも喩えられる燻製香が特徴で、好みが分かれる。
この他、さまざまなブレンド・着香茶が存在する。また同一パッカーで同一ブレンド名のものでも、出荷先の水質や嗜好の違いなどを考慮して、混合を調節することがある。
等級 [編集]
茶葉の仕上げの茶葉形状で分類したものが等級である。したがって味や香りを保証するものではない。茶葉の大きさや揉捻に差があると、抽出時間にばらつきが出て味に影響が出るため、揃えているものである。国際的に統一された規格ではないため、同じ等級でも産地によって形状に違いがある。
オレンジペコ (Orange Pekoe, OP)
茶葉の形状としては一番大きい茶葉を指す。
フラワリー・オレンジペコ(Flowery Orange Pekoe, FOP)
オレンジペコ等級並の大きさの茶葉で芯芽や若葉が多く含まれるものを指す。
ティーバッグ
ブロークン・オレンジペコ(Broken Orange Pekoe, BOP)
オレンジペコと同じ茶葉を細かく砕いたものを指す。
ペコ(Pekoe, P)
BOPよりやや大きく、OPやFOPより小さい茶葉を指す。
フラワリー・ペコ(Flowery Pekoe, FP)
Pで芯芽を多く含むものを指す。
ブロークン・オレンジペコ・ファニングス(Broken Orange Pekoe Fannings)
BOPよりさらに細かくなった茶葉を指す。
ダスト(Dust)
一番細かく粉状になった茶葉を指す。ダストだからといって低級品というわけではなく、上質なものから低質なものまでピンキリである。主にティーバッグに使われる。
その他、通常より茶葉が大きかったり芯芽や若葉が多く含まれていたりする場合、他と差別化するためにOP1など、等級名に1を付けたりする場合がある。元々は茶摘みにおいて枝の芯芽とそのすぐ下の若葉枚が摘まれ1芯2葉摘みという手法を取っており、1葉と2葉をそれぞれ摘んで製茶されていた。そのため1 葉をオレンジペコ、2葉をペコと呼んでいたが、現在ではこの摘み取ったものを一部(特殊な製茶をする場合)を除いて一緒に加工されているため茶葉の区別がなくなり、茶葉の部位ではなく仕上がり時の形状を示す言葉となっている。
なお、特に高品質の茶葉として以下のものが出回っているが、これらの等級に関しては、おおむねインド政府紅茶局が認定はしているが、茶園やディーラーが品質の良さをアピールするために勝手に付けるものである。したがって、本来のリーフ形状によるグレーディングの範疇をいささか逸脱した感もある。チップを自然乾燥させたものをシルバーチップ、揉捻の際に出る、発酵成分を含んだ液に染まることで、乾燥後に金色に光るものをゴールデンチップという。
ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ (Golden Flowery Orange Pekoe, GFOP)
FOPのうち、ゴールデンチップを含むもの。
ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ (Tippy Golden Flowery Orange Pekoe, TGFOP)
GFOPのうち、チップの量がとても多いもの。
ファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ (Fine Tippy Golden Flowery Orange Pekoe, FTGFOP)
TGFOPのうち、ほとんどがゴールデンチップから成るもの。
シルバー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ (Silver Tippy Golden Flowery Orange Pekoe, STGFOP)
TGFOPのうち、ほとんどがシルバーチップから成るもの。STGFOPもスペシャル・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコと表示される場合がある。
シルバー・ファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ (Silver Fine Tippy Goldern Flowery Orange Pekoe, SFTGFOP)
この等級は従来のカテゴリにはなく、後にディーラーが追加で作ったものと推測されるが、チップの量・質ともに優れているものに付けられている。ゴールドチップ、シルバーチップ共に多く含む最上級茶葉である。
さらにTGFOP1やSFTGFOP1など最後に'1'を付けた物もあり、これはナンバーワンというような意味であるが、先に述べた通り、等級の表示に関しては、なんの基準もなく、消費者の誤解を招きやすい。
また、チップのみを集めたものが「貴重」とされ高額で取引されているが、紅茶の旨み・香気成分が生成される前に摘み取られるため、味と香りはほとんどなく、水色も淡い。
旬 [編集]
旬によっても分類される。
早摘み茶 (Early First Flush)
ファーストフラッシュのうち、特に早い時期に摘んだもの。初売りのファーストフラッシュとして競って店頭に並べられる。
ファーストフラッシュ (First Flush)
春摘みといわれる紅茶。低温期に生産を行なわない地域での新茶となる。香りが強く、発酵の浅いものが多いため、水色も緑色を帯びるものが多い。
インビトウィーン
中間摘みといわれる紅茶。あまり出回らない。
セカンドフラッシュ
夏摘み、もしくは2番摘みといわれる紅茶。味、香気ともにバランスがとれ、水色に優れた非常に高品質な紅茶が得られる時期。
オータムナル
秋茶とも呼ぶ。秋摘みという意味の紅茶。品質はセカンドフラッシュに比べ劣る。茶葉のツヤもなく、荒れた品質となる。香気は弱いがしっかりとした味の紅茶となる。
ベスト・シーズン
スリランカにおいて、特に生産量の増える季節のこと。
クオリティ・シーズン
スリランカにおいて、特に高品質の茶葉が得られる季節のこと。
紅茶の生産 [編集]
生産 [編集]
紅茶の最大の生産国はインドで、次いでスリランカ、以降ケニヤ、トルコ、インドネシアと続く。中国は茶の生産全体ではインドとスリランカの間に入るが、緑茶と区別した統計がないため、詳細は不明である。
一般に高い標高の冷涼な環境で栽培されるものには、香りの優れたものが多く、強い日射の低地で栽培されたものに味に優れ(ただし、比較的アクの強いものとなる)、水色の濃いものが多いとされる。ダージリン、ウヴァ、キーマンなどは前者に、ルフナ、アッサムは後者に入る。一般に前者のものが高価である。近年では強い渋味を好む中近東地域で低地産紅茶の消費が増えている。
セイロン(スリランカ)紅茶の場合、産地の標高により明確に分類され、1,219m (4,000ft) 以上のものをハイ・グロウン、610m (2,000ft) 以下のものをロウ・グロウン、その間のものをミディアム・グロウンと呼ぶ。
収穫期によっても品質は変化する。
ダージリン紅茶の場合、一番茶の採れる3・4月には、香りの優れた緑がかったもの、続く5・6月には味・香りともに優れたものが採れる。7・8月の雨期には香りのない低品質のものとなる。9・10月に採れる秋茶は主にブレンド用とされる。
セイロン紅茶の場合、産地により最高品質の茶が採れる季節(クオリティ・シーズンと呼ぶ)が異なる。例えば、ウヴァは7・8月、ディンブラは1・2月となる。
栽培 [編集]
次の条件を満たす地域が茶樹の栽培に適するとされる。
* 熱帯あるいは亜熱帯に属する。
* 気温の高い季節にかなりの量の降水がある。
* 弱酸性土壌である。
* 土壌の排水性が良い。
収穫期に、乾燥した日内寒暖差の激しい日が続くと香気に優れた茶葉が得られるともといわれる。また、茶樹の栽培から茶葉の収穫にかけて人手がかかるため、安くて良質な労働力が求められることも重要である。
茶樹は、病虫害や気候の変動に比較的良く耐える植物であるが、良質な茶葉を生産するためには専門の管理士の指導のもと、比較的人手のかかる作業を含む管理が必要である。
収穫 [編集]
茶の収穫(茶摘みと呼ぶ)は、通常人手で行なう。通常鋏などは使用しない。枝の先端の芽(芯と呼ぶ)と、その下二枚の葉までを摘む方法(一芯二葉摘みと呼ぶ)が理想とされるが、実際はもう一枚下の葉まで含めて摘む方法(一芯三葉摘み)が一般的になっている。高級茶葉の中には一芯一葉摘みもあり、チップを多く含んでいる。
紅茶のできるまで [編集]
現在の紅茶の製造法は、19世紀中頃、イギリスが中国紅茶の製法を参考に、インドアッサム種を用いて製造した方法が改良されたものである。 紅茶の製造は以下の工程からなる。
生産(栽培、収穫) ⇒ 萎凋 ⇒ 揉捻 ⇒ 玉解 ⇒ 篩分 ⇒ 揉捻 ⇒ 発酵 ⇒ 乾燥(⇒ 抽出)
簡単に言ってしまうと、収穫した茶葉を放置し、しおれさせた後に揉み潰してまた放置、茶葉が褐色に変化したところで乾燥させる。という工程の並びになる。しおれさせる工程を萎凋、揉み潰す工程を揉捻、茶葉が褐色に変化するのを待つ工程を発酵と呼ぶ。
従来は、茶葉の形状を残し、針状にまとめたもの(リーフタイプと呼ぶ)が一般的であったが、近年では、揉捻の際茶葉を磨砕し細かくしたもの(ブロークンタイプと呼ぶ)が増えている。萎凋を浅くしたブロークンタイプのもの(CTCタイプと呼ぶ)や、萎凋前の茶葉を裁断して作るもの(レッグカットと呼ぶ)もある。
「もともと東アジアにあった茶の葉が、ヨーロッパへの輸送中に発酵してしまったことから紅茶が生まれた」というのは俗説である。前述の通り、紅茶における発酵は、茶葉に含まれている酸化酵素による発酵である。すでに製品として仕上がっている茶葉が、ヨーロッパへ運んでいるうちに発酵して紅茶になる、ということはない。本当にこのような発酵が行われた可能性があるとすれば、それは菌による発酵であろう。菌を使った発酵を行う茶としては、後発酵茶である黒茶(プーアル茶など)がある。
生産 [編集]
茶の生産については紅茶の生産の節を参照。
萎凋 [編集]
次工程での加工のため、茶葉に含まれる水分量を調節する工程。実際には、萎凋棚に生茶葉を広げ、通風環境下で18時間程度静置する。通常茶葉の重量が元の茶葉の55%に減少するまで行なう。この操作により、茶葉は柔軟になる。また、この際萎凋香(いちじく様の香りといわれる)を生じる。
香りの強いダージリン紅茶の場合は、この萎凋を強くし、茶葉の重量が元の40%になるまで行なう。一方、水色に重きをおくCTC紅茶では萎凋を弱くし、茶葉の重量が元の70%になったところで次の工程に入る。
揉捻 [編集]
萎凋の終った茶葉を40分程度かけて揉み潰し、細胞膜を破壊することで紅茶の成分を抽出しやすくすると同時に、茶葉中の酵素やカテキンを浸出させ、酸素を供給して次工程の発酵を開始させる。一回の揉捻で全ての茶葉を揉み潰すのは困難なため、以下の2工程が追加される。
玉解と篩分 [編集]
揉捻により塊状となった茶葉を解きほぐし(玉解)、細かくなった茶葉をふるい分け(篩分)する工程。通常器械を用いて同時に行なう。細かくなった茶葉は次の工程を飛ばし、発酵の段階で元の茶葉とあわせる
再揉捻 [編集]
30分程度かけて再び揉捻を行ない、茶葉を形状を整えるとともに、揉捻を完全にさせる。
発酵 [編集]
茶葉中に含まれる酸化酵素の作用を利用してカテキン類を酸化発酵させる。実際には、気温25℃、湿度95%の部屋に2時間程度静置する。この際、茶葉は褐色に変化する。
乾燥 [編集]
十分に発酵した茶葉を加熱し、茶葉中の酵素を失活させることで発酵を終了させるとともに、60%近くある茶葉の水分量を3%程度にまで減少させる。
飲み物としての紅茶 [編集]
レモンの輪切りを添えたアイスティー
茶葉を熱湯で抽出し、その抽出液を飲用する。抽出の方法にはいくつかの種類があり、淹れる人ごとに各々の決まりがあるといわれている。好みにより、砂糖、ミルク、レモン、ジャムなどを入れて飲む。日本ではミルクのかわりにコーヒー用のクリームを入れることも多いが、風味は劣る。ティー・バッグを使えば、手軽に紅茶を楽しむことができる。さらに、シナモンなどいれて飲んだりすることがあり、独特の風味や味を楽しむことができる。これは、シナモンティーという。
紅茶とミルクを合わせたもの、いわゆるミルクティーをいれる際に、ミルクを先に入れるか、紅茶の中にミルクを落とすかが、紅茶好きの間では常に議論の種になる。イギリス王立化学会が2003年6月24日にレポート「完璧な紅茶の入れ方 (How to make a Perfect Cup of Tea pdf)」で、冷たいミルクを先に入れたほうが良いと発表したが、これは熱い紅茶の中にミルクを注ぐとミルクのタンパク質が変質し風味を損ねてしまうことが化学分析の結果明らかになった、というものである。しかしイギリス始めヨーロッパ諸国でミルクといえば低温殺菌牛乳が主流であるため、おそらく低温殺菌牛乳のミルクを使った場合の話と考えられる[1]。日本のミルクは120℃から135℃で殺菌しすでに熱変性した超高温殺菌牛乳が主流であるため、どんなに熱くても100℃以下の紅茶にどんな順番で注いだところで、ミルクの風味が変わるとは考えにくい。低温殺菌牛乳が好きな人は入れる順番を考えればよいし、普段から超高温殺菌牛乳に飲みなれている人にとってはそれほど気にしなくてよい話である。
また、「ミルクを先に入れるべき」との根拠として熱い紅茶を上質な薄手の茶器に注いだ場合、熱によりひびが入る可能性があるため冷たいミルクで緩和するというものがある。しかしこれもあらかじめ茶器を温めておくことにより回避は可能である。
紅茶の水色は抽出に用いた水の硬度により大きく変化する。通常、硬度の高い水で淹れた紅茶は水色が濃く、暗い色調となる。飲料水の硬度が比較的高い欧州で飲んだ紅茶の水色を参考に、硬度の低い日本の水で紅茶を淹れると、味としては非常に濃く、渋みの出た紅茶になるので注意すること。また、軟水は硬水に比べ紅茶の成分、特にタンニン類を引き出す能力が高いため、同量の茶葉を用いた場合でも軟水で抽出したものは味が濃く、きつい紅茶となる傾向がある。
紅茶の淹れ方 [編集]
淹茶式でいれた紅茶
紅茶の入れ方には大きく分けて、淹茶式、煮出し式、煮込み式、濾過式の四つが知られている。
淹茶式(えんちゃしき) [編集]
ポットなどの容器に茶葉を入れ、熱湯を注いで蒸らし、茶葉を濾別して抽出する方法。家庭における一般的かつ本格的な方法とといわれる。ティー・バッグを用いる場合もこれに分類される。
おいしく紅茶を淹れるコツは、良質の茶葉を用い、新鮮なくみたての水を用意し、あらかじめよく温めておいたポットに茶葉を入れて、十分に沸騰(ただし、沸騰したてのもの)させた湯をすぐに注ぐことである。ポットが冷めていては沸騰した湯も冷めてしまい、茶葉の旨みが抽出されにくいので、冬場は特に手を抜かないでおきたい。茶葉を充分に蒸らし、葉が開ききってからカップに注ぐ。ポットは蓋付きのものを用い、ティーカップもあらかじめ温めておくと良い。
抽出時間はBOPなどの粉末状の茶葉なら2分以内、OP以上の茶葉の形が残っているものなら3 - 5分がよいとされる。あくまで目安なので好みで調整するとよい。
なおジャンピングは、美味しい紅茶を淹れるための絶対条件ではない。
日本ではプランジャーポット(ティーサーバー、カフェティエール、ボナポット、フレンチプレス、メリオールなど様々な呼称がある)を用いることがある。プランジャーポットとは円筒形のガラス容器に弁がついたもので、茶葉と湯を容器に一緒に入れ、抽出後に弁を押し下げて茶葉を押さえつけながら紅茶をカップに注ぐものであるが、本来コーヒーの抽出用具であり紅茶の抽出に用いるのは日本だけである。日本で紅茶の抽出にが用いられるようになった経緯は不明である。
煮出し式 [編集]
鍋や釜に湯を沸かし、茶葉を入れてそのまま煮出した後、茶葉を濾別する方法。煮出す時間は普通30秒程度。煮出している最中は蓋をすること。鍋一つでもできる、比較的簡便な方法ではあるが、一度に多量に抽出できる上、抽出時に変化が与え易く、応用の利く方法である。
また、ロシアやトルコなどでは紅茶を入れる際の湯沸かし器としてサモワールが伝統的に使用されてきた。サモワール上部にはティーポットが据えられる構造となっており、ポットが加熱され続けることにより茶液が濃縮される。
ロイヤル・ミルク・ティー
水で煮出してからミルクを入れて沸かしたもの。クリームを加えてより濃厚に仕立てることもある。ただし、これは紅茶の本場イギリスを連想させる単語として「ロイヤル」を用いた日本独特の呼称であり、イギリスにおいてそのような表現は存在しない。イギリスではこの手の紅茶は「インディアンティー」つまり後述のチャイと呼ばれており、特に区別されていない。
スパイス・ティー
水で煮出してからミルクを入れて沸かし、さらにシナモンやクローブなどのスパイスを加えたもの。
煮込み式 [編集]
煮出し式に似ているが、水の代わりにミルクを用い、抽出に比較的長い時間をかけるもの。インド・チャイがこれに当るが、ハッキリとした定型がなく、煮出し式との区別はむずかしい。多くの場合、多量の砂糖とスパイスが入る。またミルクを使った煮出し式と比較すると、煮出し式は茶葉の香りを飛ばさぬようミルクが完全に沸騰する前に(俗にいう「吹かさないように」)火を止めるが、煮込み式の場合はあえて何度も煮返して水分を飛ばし、茶葉の香りよりはミルクの濃厚さとスパイスの香りを重視して作る場合が多い。店頭では常時沸かしっぱなしになっていることが多い。
濾過式(ろかしき) [編集]
茶漉しやネル袋に茶葉を入れ、上から熱湯を注ぐ方法。このときにネル袋を抽出液に浸漬したり、茶葉を搾るなどの操作が加わる。上から熱湯を注ぐだけでは「色つきのお湯」程度にしかならず、逆に揉んだり絞ったりすれば非常に濃い紅茶となるが、いずれにせよ良い方法とはいえない。多量の砂糖とミルクを添えて味を誤魔化さねば飲みにくい代物である。
紅茶の飲み方(作法) [編集]
世界各地にはさまざまな紅茶の楽しみ方がある。
日本 [編集]
この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
日本ではコーヒーや緑茶に比べると飲まれる頻度は低く、特に紅茶を好む人以外はそれほど頻繁には飲まれない。そのため紅茶を出したり、紅茶を敢えて注文する人は、よく言えば「こだわりがある」「上品」、悪く言えば「気取っている」「ブルジョワ」等のイメージを持たれることもある。しかし、最近では缶やペットボトルの紅茶(紅茶飲料)が増えてきており、手軽に飲めるようになったため、紅茶を飲む頻度は上がってきているようである。
紅茶を好む人は若い女性が圧倒的に多く、男性や中年層はコーヒー、また年齢が上がるにつれて緑茶を好む人が多い。なお、一般的にはティーバッグが用いられることが多いが、喫茶店や、やや高級なレストランなどでは茶葉を用いることが多く、家庭でもお茶の時間には好んで茶葉で入れられることがある。
季節によって多少のばらつきはあるものの、ストレート、ミルク、レモンの3種類の飲み方全てが一般的である(イギリス等ではミルクティーで飲む場合が圧倒的に多く、他の飲み方はあまりされない)。また、寒暖の差がはっきりしている気候のため、ホット、アイスのどちらでも飲まれる。
アメリカ [編集]
この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
アメリカでは、圧倒的にコーヒーが飲まれるが、コーヒーはホットで飲まれることがほとんどで、逆に冷たい飲み物としてはコーヒーよりもアイスティーがよく飲まれる。また、レストラン等でホットティーを注文した場合、茶葉ではなく、ティーバッグとお湯の入ったポットが供されることがほとんどである。
イギリス及びアイルランド [編集]
イギリスといえばアフタヌーンティーなどが有名であるが、一般の家庭や喫茶店では手軽なティーバッグによって供されることがほとんどであり、好事家の家庭や専門店、および高級ホテルなどにおいてのみ茶葉が用いられている。産業革命時代に労働者の空腹を紛らわす目的で労働者階級にまで普及したため、伝統的に砂糖を入れて飲まれることが多い。
イギリスにおいては日本と違い、紅茶と言えばほとんどがミルクティーであり、レモンティーは夏場にアイスティーとして時折飲まれるくらいである。そのためテイスティングの時ですらも、ストレートではなくミルクを入れて行われることが一般的である。
フランス [編集]
フランスといえばコーヒー文化であり、実際国民一人あたりの紅茶消費量はイギリスの十分の一程度でしかない。が、イギリスの紅茶が労働者階級にまで行き届いた日常性の高いものとすれば、フランスでの紅茶は普及が進まなかったため、逆にブルジョワの文化として定着した。日本でイメージされる「優雅なアフタヌーンティー」のような、ゆっくりと寛いで紅茶を楽しむスタイルは、実はフランスのそれに近い。
ドイツ [編集]
コーヒーとともに紅茶も一般化しておりよく飲まれている。特に北ドイツでは紅茶が好まれる。飲まれ方は、ホットのミルクティーが主流で、ビールのようにグラスに注がれて出されることがある。ハーブティーや、トルコ移民が多い関係からトルコ紅茶も売られている。レストランではティーバッグが用意され、家庭では茶葉で楽しまれることも少なくない。
インド [編集]
植民地時代にイギリスの影響を受けたのち、独自の喫茶文化を発達させた。詳しくはチャイを参照。
香港 [編集]
イギリス流のアフタヌーン・ティーも盛んであるが、庶民はエバミルクと砂糖をたっぷり入れたミルクティーや、レモンを1/3個分ほど使った、レモンティーを特にアイスで楽しんでいる。また鴛鴦茶というコーヒーと合わせた香港独特の飲み物もある。
チベット [編集]
中国雲南省などで作られる磚茶(たんちゃ。茶葉と茎を蒸して固形化した黒茶の一種)を煮出したものに、バターと岩塩、プンドを、ドンモやチャイドンと呼ばれる筒形の容器に入れ、攪拌して作る。バター茶とも呼ばれ、チベットでの重要なビタミンC摂取源である。どちらかというと味はスープに近く、主食のツァンパを練るのにも使う。モンゴルやブータン、ネパールなどでも同様の習慣がある。
ロシア [編集]
一人分ずつ供されたジャムをスプーンですくって舐めながら紅茶を飲むのが本場ロシアでの作法である。寒い土地で紅茶にジャムを入れると茶の温度が下がり、体を温めるのに適さなくなってしまう。またお茶そのものが渋くなってしまう。日本において一般に「ロシアン・ティー」と言えば、紅茶にジャムを加えて飲むものとされているが、大変な誤解である。紅茶にジャムを加えて飲むのは、ロシアではなくウクライナやポーランドの習慣。
トルコ [編集]
トルコ紅茶
トルコでは、トルココーヒーのイメージがあるがこちらは高級品で、紅茶が身近な飲み物になっている。独特の形をした紅茶をだすための器具があり、真ん中がくびれた細身のガラスコップに入れて客に振舞ってくれる。この地を旅行すると、必ずこのような紅茶にお目にかかる。かつてはアップルティーが流行ったことがあったが、現在一般に飲まれているチャイは普通の紅茶である。現地の人は小ぶりのグラスに角砂糖をたっぷり入れて飲む。トルコで出されるチャイは渋みが強く、日本では砂糖を入れない人でも入れて飲んだ方が美味に感じる。 これとは別にハーブティーなども売られているが一般的ではない。
紅茶の化学 [編集]
紅茶の成分 [編集]
カフェイン [編集]
紅茶茶葉中には、重量にして3%程度カフェインが含まれる。この量はコーヒーの 3倍の量に当る。しかし、1杯当りに使用する茶葉・豆の量(抽出の効率も)が異なるため、飲用時のカフェイン濃度はコーヒーの方が高くなる(カフェイン濃度はコーヒーに比べ半分程度とされる。しかし、品種や抽出条件(加えてコーヒーでは焙煎状態)により大きく変化するため、厳密に評価するのは難しい。)。なお、紅茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつくためにその効果が抑制されることから、コーヒーのような覚醒的作用は弱く緩やかに作用する。
タンニン [編集]
紅茶におけるタンニンは、エピカテキンやエピガロカテキンなどのカテキン類とその没食子酸エステル誘導体が主となっている。一般に、カテキン類は苦味を、その没食子酸エステル誘導体は渋味を持つとといわれる。生茶葉中にも多量に存在する。紅茶製造においては、発酵過程において生成されるテアフラビンなどの赤色色素の前駆体となっており、その抽出液の水色に大きな影響を与える。なお、タンニンはポリフェノール化合物の一種でもある。紅茶には、茶葉重量の11%程度タンニンが含まれている。生茶葉中に、乾燥重量に換算して20 - 25%含まれる。紅茶によく用いられる茶樹の品種であるアッサム種では、このタンニンの含量が緑茶に用いられる中国種に対し1.2 - 1.5倍程度多く含まれている。
呈色成分 [編集]
紅茶の水色は主に紅茶フラボノイドによって決まる。紅茶特有の呈色成分として知られるテアフラビンとテアルビジンが良く知られており、これらの水色に与える影響は大きい。この二つの成分が多いほど、水色は鮮やかな濃い赤色となり、良品とされる。
香気成分 [編集]
紅茶の香気はリナロール(レモン様)やゲラニオール(花のような)といったテルペン類による影響が強いが、その他にも青葉アルコール(ヘキセノールのこと。青臭い若葉)などのアルコール類、青葉アルデヒド(ヘキセナールのこと。青臭い若葉)のようなアルデヒド類、ネロリドール(ウッディな)、サリチル酸メチル(湿布薬)をはじめ多くの物質が関与している。
なお、リナロールやゲラニオールなどのテルペン類は、生茶葉中では配糖体など不揮発性の前駆体として存在しており、これが萎凋や発酵の過程で遊離すると考えられている。
萎凋における香気成分の変化 [編集]
萎凋の際、生茶葉に含まれる青葉アルコールや青葉アルデヒドは蒸散し、次第に減少して行く。一方、細胞内の酵素の作用によりテルペン系の香気成分が集積してくる。
発酵における赤色色素の生成 [編集]
茶葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼ(ラッカーゼとも言うEC 1.10.3.2)の作用により、カテキン類(タンニンと考えても良い)が酸化重合し、テアフラビン(橙赤色)やテアルビジン(赤色)などの赤色色素が生成する。これらの物質は茶葉にもともと含まれる紅茶フラボノイドとともに茶の水色を決定する。また、この際、いくつかの香気成分も生成される。
乾燥における香気成分の変化 [編集]
乾燥における熱風処理でかなりの香気成分が散逸する。また、糖のカラメル化も起こる。また、水分量が激減するため、製品の品質は安定する。
資格 [編集]
紅茶に関連する資格としては日本創芸学院が認定する紅茶コーディネーター、日本紅茶協会が認定するティーインストラクターがある。
その他 [編集]
1日に数回のティータイムなど、紅茶はイギリス人の生活と深く結びついている。例えば核戦争が真剣に議論された1950年代には、「もし核戦争が起こった場合、紅茶が不足するという深刻な事態が起こる」「パンや肉と並び、紅茶の備蓄の必要性がある」といった議論が政府内で行われていた[2]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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